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早 川 浩 士
(有)ハヤカワプランニング 代表取締役
2008年 12月号
転期に立つ経営者の資質の鍛え方 35
鞠躬尽力 (きっきゅうじんりょく)

 身を削り、人に尽くさんすりこぎの、その味知れる人ぞ尊し

「鞠躬尽力」は、身を屈(かが)めて謹みかしこまるさまの鞠躬、あることのために力を尽くすの尽力を合わせた言葉である。
 労苦をいとわず、骨を折ることを惜しまないという意味があり、今から1800年前、魏(ぎ)の曹操(そうそう)、蜀(しょく)の劉備(りゅうび)、呉(ご)の孫権(そんけん)の三人が覇権の角逐を競ったことが記された中国の歴史書『三国志』の中で、名宰相諸葛孔明(しょかつこうめい)が蜀の二代目劉禅(りゅうぜん)に決意表明として著した「後出師表(のちのすいしのひょう)(注1)」の結びに登場する。
 小国、蜀の劉備は、裸一貫から起業した小規模経営者といったところ。
 無名の存在に過ぎなかった青年・孔明に対して蜀軍の軍師となるよう三たび訪問を重ねた劉備は、徹底した謙虚な態度と深い信頼を持って接したことから、彼の姿勢に信服した孔明は幕下に加わる。
 これが、目上の人が礼を厚くして、目下の人に対して仕事を引き受けてもらえるように頼むという「三顧(さんこ)の礼」の故事である。
 劉備と孔明の関係は、「身を削り、人に尽くさんすりこぎの、その味知れる人ぞ尊し」という道元禅師の言葉に置き換えてみることができる。
 劉備の三顧の知遇に感激した孔明の態度は「身を削り、人に尽くさんすりこぎの」であり、「その味知れる人ぞ尊し」は劉備の姿勢といってよい。
 孔明は、劉備亡きあと、子の劉禅に対してもこれまで同様、粉骨砕身の姿勢になんの変りもないことを「鞠躬尽力、死して後やまん」と表明して、宿敵の魏との戦いに出陣した。
 リーダーが身を削る覚悟で先頭に立って働けば、自ずと部下もその気にならざるをえない。
 部下との絆に弛緩はないか。


「率先垂範」と「率先躬行(きゅうこう)」

 「職員の意識が、バラバラだ!」と悩むトップは、少なくない。
 時間を守る人、守らない人。
 業務に積極的な人、消極的な人。
 利用者第一と考える人、必ずしもそうとはいえない人。
 「時間を守るように!」
 「積極的な姿勢を示すように!」
 「利用者第一と考えるように!」
 とリーダーを問い詰めたところで、トップ自らが言行一致の姿勢(本性)をなおざりにしていては話にならない。
 「時間が守れていない」
 「積極的な姿勢がとられていない」
 「利用者第一と考えていない」
 という者がいたなら、それは個々の職員の問題であるという前に、トップ自らの課題であると受け止めること。
 バラバラなのは職員ではなく、トップの意識が鍛錬されていないから。
 何事も「率先垂範(先立って模範を示す)」、「率先躬行(先立って自ら行う)」という日々の実践が不可避である。
 「トップの心構えが、(玄関の履物同様(注2))駐車場に現れている!」
 これは、施設の居室の窓越しから眺める利用者が、主任を相手に口を滑らせた一言だ。
 この報告は、即座に施設長から理事長へと伝わった。無造作に止められた車、整然としない車列などの光景を3階の利用者の居室から目の当たりにした理事長は、「背筋がゾーッとした」という。
 トップの心構えは、職員に影響を与えるばかりではなく、利用者一人ひとりから、その一部始終を見られている。
 「当たり前のことが、当たり前にできる」ようにと、些細なことを大事にしているだろうか。何事も凡事徹底。(注3)
 「ご精がでますね!」と、身を粉にして働く者に心から賞賛の言葉をかけることのできるトップの周りには、「鞠躬尽力」で応える職員で満ち溢れている。

(注1)蜀の劉備亡きあと、その子劉禅を補佐した諸葛孔明が、魏を討つための出陣にあたって劉禅に奉った2回の上奏文の一つ。「後出師表」は、本人の作ではないとの説がある。
(注2)本誌2007年5月号本欄参照。
(注3)本誌2005年8月号本欄参照。
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