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早 川 浩 士
(有)ハヤカワプランニング 代表取締役
2003年12月号
人材活用と組織の新陳代謝を促す「のれん」分け

独立する夢を描く場所

 「のれん(暖簾)」には、もう一つ「のれん」を分けるという言葉がある。  広辞苑には、「長年忠実に勤めた奉公人に、店を出させて同じ屋号を名のることを許すこと。その際、資本を援助するとか、商品を貸与し、得意先を分けるなどする」とある。  奉公に出るのは、10才にも満たない年端も行かぬ子供である。  教育そのものが制度的にも未発達だったその昔、商人(あきんど)、宮大工や杜氏(とうじ)などの職人を志す者にとって、奉公先は、「読み・書き・ソロバン」の学び舎でもあった。  中には、「奉公を終えて独立する」という夢を描く者も少なくなかった。  商人を志す者は、まず、奉公先の商家に住み込んで、家人と共に寝食を共にする日々が始まる。最初の仕事は、家事・賄い、雑用などの下働き。いわゆる丁稚奉公(無給・三食・住込み付き生活)である。起床は、日の出前と早い。竈(かまど)に火を熾(おこ)す。薪をくべる。更には、井戸から水を幾度となく汲む。飯炊き、掃除、洗濯など、どれ一つとっても水道光熱費を負担すれば事足りる現代とは異なり、生活インフラが全くなかった時代にあって、数十人規模の使用人を擁する商家では、日に三回の家事・賄いも重要な業務だ。  その上、日中は、積荷の出し入れ、お遣いやお供などのお手伝いなど、息をつく間もなく雑用が次々と押し寄せる。  休みは、一年に盆暮れの二回。実際、かなりの者が、下働きの期間中に辞めてゆく。  下働きが認められると、商家本来の手伝いが許され下積み期間に移行する。  ようやく、商いのイロハを実地習得するとことになる。  この下積みが評価された者の中から、20代に入って手代。更に、20代後半から30代にかけて番頭(主人を補佐し店を委任される立場の人)にとり立てられる者が現れる。

喧嘩別れによる開設が多い

  登りつめた者は、その多くが、「のれん」を分けてもらって独立したいという夢を持っている。奉公先は、「起業家として羽ばたくチャンス」を掴む場所でもあった。  独立したい者は、まず、主人に対して願い出る。一般的な条件は、お礼奉公(後任者育成など)。これを満たせば、晴れて独立が許され、「のれん」を分けてもらえることになる。  今日の退職金とは全く異なるのは、金銭面に限らず、物品の仕入れ、顧客や使用人等の世話など、店を持つための援助が得られたことだ。  その結果、奉公先は、それまでの上・下の関係先から、本家・分家に変わってゆく。  「のれん」を分けるということは、今日で言えば、“人材”の雇用と登用の循環サイクルを活性化させ、組織の新陳代謝を促す手法といって良いだろう。  介護保険施行から3年半が経過。施行前日、要介護等認定者は205万人。  本年6月、357万人を記録。352万人が本年度末の見込み数だ(本誌8月号参照)。認定者は、急増の一途を辿り続けている。とりわけ、要介護1など軽度の増加が著しく、第2期計画最終年度は132万人と、全体の3割を超える。  この間、ヘルパーステーション、グループホーム、特定施設、デイホームなど、会社設立と共に新規開設した者が少なくない。軽度の者には、これらの居宅サービスが欠かせない。とはいえ、残念なのは「のれん分け」ではなく「喧嘩別れ(登用・処遇の不一致などによる)」によって開設に至ったケースが大方である。  経営(継栄)の立場が、「のれん分け」の精神を少しでも斟酌した“人材”活用が進めば、小規模・多機能サービスのあり方にも柔軟性が生まれるだろう。  何気なく吊るされた「のれん」を見たとき、この言葉に託された意味をかみ締める機会となれば幸いである。
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