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介護マネジメント塾 ..................... 経営のツボ51
早 川 浩 士
(有)ハヤカワプランニング 代表取締役
2007年9月号
転期に立つ経営者の資質の鍛え方 20
遡源湧源(そげんゆうげん)
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遡源は財源にあらず 今こそ湧源を引き出せ
遡源湧源。創刊以来、通算51回目の連載を記すに当たり、自ら創作した言葉を用いて、介護保険の再生に一石を投じる機会なれば幸いである。
遡源は、源に遡ること。事の本質を究めることを指す。
湧源は、泉の源のこと。湧き出る泉のもとを指すという意味があるとして数学者広中平祐が常用する言葉の一つである。
「介護の社会化」と注目を浴びた介護保険も施行から7年半が経過した。
何のための、誰のための介護保険として発足したのか。遡源はいつの間にか、制度の「持続可能性」を大義にかざした財源という藻に覆われて、事業者も利用者も息苦しくなってきた。事の本質が揺らいでいるといわざるを得ない。
湧源という新たな(大胆な)知恵を湧き興して、遡源の浄化を行わなければなるまい。
療養病床の削減に躍起の当局は、改正医療法上の医療法人制度のあり方にメスが入るのは時間の問題と言ってよいよいだろう。
事業者は、経営の再構築を図るべく、次の三点を洗い直すことが喫緊の課題ではなかろうか。
一、あるべき姿を再構築するためのビジョンを洗い直すこと。
二、やらねばならぬことを明確にするミッションを洗い直すこと。
三、腹をくくって実践するコミットメントを洗い直すこと。
その上で、介護、医療に関わるトップ、リーダーは、疾病と疾患の大家に安閑として納まるのではなく、自らの人間力の研鑽と向上、人財育成の腐心に一意専心すべきであれと強く問いかけたい。
「一年の計は、穀を樹うるに如くはなし。十年の計は、木を樹うるに如くはなし。終身の計は、人を樹うるに如くはなし(菅子・中国古典)」
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「道可道也、非恒道也(みちのみちとすべきは つねのみちにあらず)」
これが道だと説明できるような道は、本物の道ではない。英語圏では「タオ(TAO)」として親しまれている『老子』の冒頭に記された文言である。
道は、人が歩く路もあれば、法則、道理、方法、行程、人の踏み行うべき道徳規範、特定分野を極めるものものある。決まった軌道を歩む道もあれば、自ら踏み固める道もある。
「介護経営の道」
介護経営の道は険しい道だ
嫌な道とせず
健やかな道を目指せ
険道(けんどう)を嫌道(けんどう)と捉えず
健道(けんどう)とすべし
自分で選んだ道だから
人の道、親子の道、夫婦の道
人間関係の道も
皆、同じだ (自作)
ツボは「ここと見込んだ急所のこと。灸(きゅう)をすえて効果があがる所」という意味があると辞書にはある。
鍼灸(はり・きゅう)では、ツボのことを経穴(けいけつ)と呼んで、その数はWHOで約360ヶ所と定められたようだが、一説には1000ヶ所もあるとも言われている。
経営(継栄)のツボは、人体のツボの数に劣らぬくらいあるのだろうかと、湯の盤の銘(注1)を思い浮かべて常在学場を刻む日々が続く。
(注1) 本誌2005年7月号本欄参照
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