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経営のつぼ39 介護マネジメント塾 ..................... 経営のツボ39

早 川 浩 士
(有)ハヤカワプランニング 代表取締役
2006年9月号
転期に立つ経営者の資質の鍛え方 G
蝉蛻龍変(せんぜいりゅうへん)

「始点」−「視点」=「支点」
介護業界は、昨年秋から人材難が本格化。加えて、介護専門学校、各種学校の今春入学者は、軒並み減少傾向が強まったことから、2年後、介護職枯渇時代の到来が懸念される。  最大の要因は、産業界全般の景気が好転したこと。更に、団塊世代の大量退職を踏まえた雇用拡大が加わり、大学進学が加速。  福祉系大学が増加したものの、卒業生が必ずしも介護業界に就職しないというのが昨今の傾向だ。そこに、少子化が追い討ちをかけてくる。  元々、介護サービスの基本は、要介護者のウンチ、オシッコに日々刻々と向き合うのが仕事であり、このことから目が離せない。  3K職場といわれる所以がこれだ。  「不易(注1)」の最大の要、排せつケアは、単にトイレ誘導のみに限らず、オムツ外しを含めた自立を支えるものであり、排せつの可否で要介護者の自立度も大きく異なる。  認知症の人にとっても排せつは重要なケアであり、介護職にとってウンチ、オシッコとの格闘は避けられない。  排せつケアは、要介護者の自立支援という「始点」からはじまる。  要介護者が認知症であるとか、オムツをしているなどの「視点」に基づいて、どう支えれば自立ができるのかという「支点」を確立するのが介護職の仕事である。  「始点(目標)」に対する「視点(現在)」から「支点(課題)」を導く創意工夫こそ、介護職の腕の見せ所なのだが。

「抜け落ちた子守りの経験」
昨年秋から複数のフィリピン女性が介護職(注2)として働く特別養護老人ホーム(愛知県)がある。  彼女達のネームプレートには日本姓(婚姻により日本国籍取得)が記され、外国人と気がつかない入所者もいる。  理事長の好意から、彼女達と面談の機会を数度に渡って得られた。  わが国と比国の家族観、介護観の違いから、介護職を志望した理由など、様々な話を聞く中、最も驚いたことがあるので紹介したい。  全員、小学校1年生の夏休みの家事手伝いに「子守り」をあげたことである。兄弟や姉妹から甥や姪もあった。  わが国にも子供の「子守り」は、当然という時代があった。近年は、核家族化、少子化の進行によって、言葉そのものが死語になりつつある。  赤ちゃんとはいえ、ウンチ、オシッコと格闘した「子守り」の経験を通して知る家族の絆の大切さが芽生える。  仏教用語の一つに「蝉蛻 (蝉の蛻)せみのぬけがら」という言葉がある。  「蝉蛻」とは、蝉が幼虫から成虫に成長する過程。地中から地上に這い出るとともに自らの殻を脱皮して大地に飛び立つ様のことをいう。つまり、「外形はそのままで中身がぬけがらになる」の意が転じて「迷いから抜け出して悟りの境地に達すること」「それまでの慣習や因習にとらわれず、そこからの束縛から抜け出す必要性」など、“解脱”するとか、“悟りをひらく”といった意を含む言葉として使われる。  先人の中には、蝉の幼虫時代は長いものの、「蝉蛻」して成虫となった蝉の命の儚さを哀れみ「蝉蛻とともに、龍のように大きく変わる」との意を託して「蝉蛻龍変」と使うこともある。  21世紀の超高齢時代に先駆けて施行した介護保険法は、改正法へと進化。  真の龍変には、次代の後継者に対して、利用者、介護職の双方がウンチ、オシッコとの格闘を通して自立支援の光明を見出すための知恵の汗をかく楽しさが示せない限り、継続して栄える経営の仕組みが崩壊しかねない。

(注1)本誌2006年4月号本欄を参照。
(注2)長期滞在中のフィリピン人を対象に昨年、名古屋市で始まったホームヘルパー講座の卒業生。
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