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経営のつぼ36 介護マネジメント塾 ..................... 経営のツボ36

早 川 浩 士
(有)ハヤカワプランニング 代表取締役
2006年6月号
転期に立つ経営者の資質の鍛え方 D
集団浅慮(せんりょ)

消火器の栓を抜いた経験者 4割
「消火器の栓を抜いて火を消したことのある方、挙手にご協力ください」  1月8日(日)午前2時20分頃、長崎県大村市内の認知症高齢者グループホームの出火によって7人の死者を出した火災事故から約3ヶ月の間、セミナーや研修会などで登壇する機会がある度に受講者の方々に対して執拗に投げかけた問いがこれだ。累計でざっと約4,000人(北海道から鹿児島まで35会場)の協力を頂き、約1,600人程度の方々から挙手を得た。  400人を上回る経営者、施設長、管理者、責任者という立場の受講者が集まった会場では約7割を越えたが、これは異例中の異例。多くの場合、3割にも満たなかった。  消火器の栓を抜いた経験者が4割でしかないという見方も欠かせない。  火災で最も大事なことは、避難誘導よりも初期消火。  消防計画、火災予防管理、災害時活動対策、通報要領、避難経路図など含めた消防計画書の作成に止まらず、火の勢いを食い止めるために成すべきこを怠らないことだ。  「バケツに一杯の砂を準備する」など、暮らしに潜むしたたかな先人の知恵を受け継ぎ損ねてはなるまい。  とはいえ「計画作成担当者の要件が整わない」「医療連携体制加算が取れない」「夜勤体制が組めない」など、改正介護保険法に乗り切れないグループホームは、防火対策の義務化によって一段と経営を難しい局面に追い込むことが避けられない。

「遠水(えんすい)は近火(きんか)を救わず」
今回のような多数の死者を出した大火災など、災害によって社会的に大きなストレスがかかることが予見される場合、指導監督上責任ある立場の集団によって結束された絶対的な意見(「命令に従え、同調せよ!」)は、法制的な圧力が加わり、客観的に正しく状況を判断することが難しくなってしまうことがある。例えは異なるが、ロンドンの地下鉄大火災による惨事を受けて、地下鉄構内での禁煙が一斉に実施されたこともある。  アービング・L・ジャニス(注1)は、「集団」で考えた結果、よけい浅はかな決定がなされる「集団思考」がもたらす現象として「グループシンク(groupthink)・(和訳: 集団浅慮)」に陥る危険性を指摘する。  「集団浅慮」とは、簡単に言えば「無意識の思い込み」のこと。  「自分たちは優秀だ」という強い自信のある人たちほど、“自己過信”、“自信過剰”に陥りやすく、そのような人たちが集まると、その団結感ゆえに間違った決定を下すことが、時としてあるというのだ。いくら優秀な個人を集めても、その集団が強く団結しすぎていると、内向きで親密な議論が展開される傾向に陥り、次第に外部の声に耳を傾ける力が鈍ってくる。  その結果、「集団過剰評価」「閉鎖的な発想法」「仲間意識の圧力の存在」に導かれた合意形成を総意とした結論を安易に導き出すことになる。  人が陥りやすい思考の罠に毅然と立ち向う知恵は時に大事なこと。 厚生労働省と総務省消防庁は、「相惜顔面」は「面従背信」に通じるという教訓を胸に刻むことである。(注2)  介護事業者は、「備えあれば患いなし」の用意を準備すべきである。(注3)  中国の古典『韓非子』には、「遠水は近火を救わず」とある。  「遠い親戚より近くの他人」という例えが分かりやすい。「急場」には「近場」が大事であるということ。  「地域」という言葉が意味深に響いていると感じるのは私だけだろうか。

(注1) アービング・L・ジャニス(Irving L.Janis) 米国社会心理学者
(注2) 本誌2005年1月号本欄を参照
(注3) 本誌2005年7月号本欄を参照
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