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早 川 浩 士
(有)ハヤカワプランニング 代表取締役
2005年7月号
古に学ぶ経営者の資質の磨き方 I
「備えあれば患(うれ)いなし」

苟(まこと)に日に新なり
中国古代の五帝の禹(う)を始祖とする夏(か)王朝に続いて殷(いん)王朝を興した湯(とう)王(紀元前1600年頃)は、自らが使う洗面器に「苟日新、日日新、又日新」という九文字を刻みつけていたことで有名である。  『大学』の伝二章には、「湯の盤の銘に曰く、苟に日に新たなり、日日に新たに、又日に新たなり」(注)と記されてある。  湯王は、毎朝、洗顔のたびに刻印した洗面器を見ながら、これを見ては初心の覚悟を日々新たにして毎日の仕事に取り組むための叱咤激励を自らに課し続けた。  何事も初日は、新鮮であるとともに刺激も多い。ところが、繰り返される毎日に気づきが疎くなり、これが鈍くなると、良くも悪くも惰性やマンネリが巣食いはじめる。  組織の上に立つ者が最も大切にしなければならないことは、自らが仕事のあるべき目標を定め、達成されるまでの手段と対策を立案し、自らをコントロールしながら目標達成に邁進することから逃げないこと。早い話が、「飽きないこと」である。そのためには、「自分で自分に命令して働く」ということが習慣となって、常態化できなければならない。  まずは、「特に異常なし」という現場からの報告に対して、どのように反応している自分がいるのかということから問い直してみるとよい。

過ちを恥じて非を作(な)すなかれ
「備えあれば患いなし」という言葉は、ふだんから準備していれば、万が一の事態が起きても心配しないですむという意味で、天変地異など予期せぬ震災や災害に見舞われたときなどに用いられることが多いが、その出自は『書経』にある。  殷王朝の中期、湯王から二十二代目の高宗に対して重臣の傳説(ふえつ)が進言する次のくだりに出てくる。  「人材の登用は、そのポストに沿った人物が得られるか否かにかかっている。情実に囚われず、あくまで能力本位に徹するといって陰険邪悪な者は避けなければならない。あくまで、賢明な者を人選すること。とはいえ、このような判断が正しかったか否かという見極めは、即座には難しい。判断ができる頃になると、上手くいっていることを自慢したり、これ見よがしに能力を鼓舞したりする者も現れてくる。いついかなる時であろうとも事前の備え(=覚悟)をしておくに越したことはない。また、お気に入りの臣下を重用して、彼等の信頼を得るための言動ばかりしないこと。自らが、過ちを犯したなら、改めることをためらって、過ちを重ねるようなことをし続けてはいけない。先の湯王に習って、“日日に新たに”を率先垂範することですよ」と。  「備えあれば患いなし」とは、何かあったら人事の責任は君主たる私にあるのだというという決意で臨む姿を諭した言葉である。この後段には「過ちを恥じて非を作すなかれ」と続く。人は誰しも過ちや失敗がある。これを恐れていては、何も出来ない。大事なことは、過ちを犯したら改めること。つまり、過ちを重ねてはならないということである。  高宗は、「良くわかった。傳説のいう通りにしよう」と答える。  だが、傳説は、「知ることの艱(かた)きに非ず、行うことこれ艱し」と諌める。  「分かってはいるが、これが中々難しい」と悩ましがっては、埒(らち)が明かない。引きも切らずに相次ぐ不祥事。組織を預かる者は、「過ちを恥じて非を作すなかれ」と顧客や部下に対して詫びる度量が試されていることを忘れないことである。  『論語』には、「過てば則ち改むるに憚(はばか)ること勿(なか)れ(学而1)」「過ちて改めざる、是を過ちと謂う(衛霊公15)」と孔子の言葉もある。

 (注) 「盤」とは、顔を洗う器のこと。「銘」とは、金属や石で刻みつけた文字のことを指す。
 


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