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データで徹底分析 介護事業の最新動向と経営展望 あとがき ..................................

平成14年の夏は格別に暑かった。
それは、久々に日本中がひとつになって燃えたワールドカップの余韻が覚めやらぬうちに、 数度に渡る首都圏直撃台風の襲来と共に灼熱の夏を引き寄せたからであろう。

日本中の一人一人が、これほどサッカーに対して盛り上がったのは、初めての勝ち点、 初めての勝利、そして初めての決勝トーナメント進出など、一つ一つの試合に感動と興奮の 渦が巻き起こったからに外ならない。

サッカーがプロ化して10年余を経たとはいえ、圧倒的な大衆スポーツといえばまだまだ野球であり、 社会のシステムやスタイルに対してすら、野球評論家によって野球文化論が談義されることで得心のいくことが少なくない。

  野球の基本は、投手、捕手、一塁と決められた守備位置や、一番、二番、三番という打順で与えられた役割をしっかりこなすことが、 チームプレーにつながり評価されるという仕組みである。
 これを社会に置き換えると、戦後の荒廃から立ち直るために、  それぞれ一人一人が与えられた持ち場の役割をしっかりと果たすことで、  大量生産と大量消費につながる社会の構図ができあがり、わが国の経済成長が成し遂げられたということになる。
 ビジネスの世界で、野球談義が多いに幅を利かせるのは、ある面で野球型の道理が通じた社会だったからといえなくもない。
 ところが、ワールドカップの開催によって連日連夜のサッカー観戦から、日本人の何人かは、野球型からの決別を強く心証づけられたに違いない。
 野球とサッカーの最大の相違点は、決められた攻守交代がないことである。
 サッカーは、FWやDFが自らの役割だけでプレーする訳にはゆかない。
 劣勢の時は、FWも含め全員が守りに徹するということが必要であるとともに、
 攻撃に転じたときはFWだけでなく、第二列目以降から中田や稲本のような、いわゆるボランチの攻撃が加わる。
 彼らには、DFが得点するコーナーキックのようなオールマイティな役割と、常に的確な状況判断能力が求められている。
 攻守交代がないがゆえに、スピードが要求され、機を逃さずに積極果敢にチャレンジする
サッカーが魅力的に映る。
 介護の世界をみても、サッカー型は決して対岸の出来事ではない。
 守備位置や打順に従ってその役割を果たせばよいという野球型は、事業者にしてみれば、多いに納得のゆくスタイルである。
 
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 介護の基本は、ケアマネージャー、看護師、ヘルパーと決められた有資格に基づいて、  ケアプランに従って与えられた役割をこなすことから、資格を背景とした職務遂行が適材適所に配置するため、野球型といってよい。
 ところが、痴呆対応型共同生活介護、いわゆる痴呆性高齢者グループホームは、サッカー型である。
 痴呆性高齢者グループホームは、そこに暮らす痴呆の利用者と、痴呆ケアをする職員によって構成される。
 職員は、利用者の食事、排泄、入浴などの介助に加え、炊事、洗濯、掃除、買物等々、  1日の生活全般を利用者と限られた小数精鋭のスタッフによって擬似家族を一緒に営むことが職務となっている。
 そこには、オールマイティな役割と、常に的確な状況判断能力が求められるので、野球型よりも、むしろサッカー型のプレースタイルが馴染みやすい。
 介護保険事業の特徴の一つは、適正資格に基づく立場の明確化である。
 つまり、どのような資格や立場で、介護保険事業に取り組んでいるのかということだ。
 ここに風穴を空けたのが、痴呆性高齢者グループホームであろう。
 これまでの概念にはなかった、利用者と共に暮らすこと、生活の中でのつまづきを支えてゆく介護であることが、何とも新鮮に映る。
 Jリーグ開催から10年を経て、ワールドカップ開催国の一員として、にわかサポーターの盛り上がりは、  まさに“熱闘甲子園”の応援にも引けをとらなかった。
 この感動と興奮に浸ったジュニア世代の中から、次代をつなぐ新たなサッカー選手の出現が多いに期待されるところだが、翻って介護の世界はどうだろう。
 わが国の最大資源である人が、介護人材の芽を育くむ仕組みや、次代をつなぐ後継者の“礎”の構築を怠れば、人材の空洞化が多いに懸念される。
 痴呆性高齢者グループホームの立上げを支援して痛切に感じたのが、「生活実感」の有無であり、  資格や経験に勝とも劣らない資質の一つであるということの発見であった。
 最後に、「あなたには、生活実感がありますか?」と問いかけて、筆を納める。
 
平成14年11月  
早川浩士(経営コンサルタント)  


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